『クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』
観てきました、クレヨンしんちゃんの映画最新作。
クレしんの映画はそんなに多くは観たことがないのですが、
昨年公開の『クレヨンしんちゃん バカうまっ!B級グルメサバイバル!!』から、
二年続けて観ております。
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本作の脚本は中島かずきで、
たまにクレしん映画の脚本を担当しているようですが、
本作は2010年の『クレヨンしんちゃん 超時空!嵐を呼ぶオラの花嫁』以来の担当のようです。
中島かずきといえば僕の中では、劇団☆新感線とキルラキル(すごく浅はかな知識ですが)。
外連味というか、ズバッとかっこいいことをかっこよく言う!みたいな。
そんな男臭さみたいなイメージが強いです。
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観る前に、
なんとなくずっとクレしん映画に(ドラえもん映画にも)思っていたことがありまして、
それは、「誰向けの映画なんだろうか」ということです。
もちろん正解はきっと「子どもから大人まで楽しめる」なのでしょうが。
例えばオトナ帝国とか、子どもと大人では感想も違うだろうなーなんてことを、
あんまりちゃんとオトナ帝国を観てないのに思ったりしていました。
なので、子どもが面白がるところ、大人が面白がるところ、という2点を意識しながら観ました。
本当は連休のファミリーでごった返した劇場で観たかったのですが、
忙しくて観ることができず、僕が入った劇場には周りに高校生しかいませんでした。
高校生の視点は子ども側なのでしょうか大人側なのでしょうか。
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ストーリーはざっと、
急にひろしが秘密組織にロボットにされてしまい、
その組織の目的は、日本の威厳を失った父親に威厳を回復させることで、
ロボットとなったひろしを利用して革命を起こすが、
しんのすけの活躍によってロボひろしは自我を取り戻し…
みたいなかんじです。
と、流れはこのようなかんじなのですが、
もうひとつの主題は、
自分のアイデンティティを失いかけるロボひろしと、
ロボットとなったひろしをひろしとして受け入れられないみさえの葛藤と、
とーちゃんはとーちゃんだと、一切の迷いのないしんのすけの、
3人の関係性と心の揺れです。
簡単に言うと、ひろしとみさえのラブストーリーです。
この「みさえが状況を受け入れられない」という展開にすごく意表を突かれました。
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まず、子どもが面白がる(面白がりそうな)ところ
・題材がロボ
これだけでもう男の子はドキドキワクワクすると思います。
冒頭は劇中アニメ「カンタムロボ」がかっこよく宇宙で戦うシーンから始まりますし。
・映像としてコミカルなシーン
急に劇画風になったり、サイケ色に波打ったような絵になったり。
あとロボひろしの機能や動きがハチャメチャ。
・かすかべ防衛隊がほぼ出ない
これはマイナス要素。
全編にわたり活躍するのはほぼしんのすけとひろしだけで、
あまり幼稚園の仲間たちが出ないのはマイナスポイントかと。
とまぁ、あんまり思いつかないのですが、「ロボ要素」で大きく賄えてるんでしょうか。
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そして、大人が面白がる(面白がりそうな)ところ
・ロボひろしのアイデンティティ
ここは踏み込んで書くとネタバレみたくなってしまうので、
いつもはネタバレを気にしないのですが、なんとなくやめときます。
・みさえのヒロイン感
今回のみさえは色んな思いを抱えたままずっと待っているヒロインです。
・しんのすけの変わらなさ
とーちゃんの身体が生身だろうがロボだろうがしんのすけにとっては関係のないことで、
また、ロボひろしの自我を引き戻すためにとった行動には心を打たれました。
やはり、人工知能的なモノのアイデンティティの問題みたいなのが絡んでくるのはそうなのですが、
そこに関わってくる家族関係と、家庭における父親の尊厳を、
ひろしというなんの変哲もないおやじを通してちょっと切なく可笑しく描いていました。
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あとはただ気に入ったり気になったりした点
・ひろしが面白い
ひろしがとても魅力的に描かれていて、めちゃくちゃかっこいいし、めちゃくちゃ笑いもしました。
・ちょっと現実感が強い
床や壁のよごれとか、高いところから落ちたら危ないとか、ロボットの存在の異常さとか、
ところどころリアルに描かれているかんじがして、そういうかんじか、とちょっと違和感。
・しんのすけの万能感
全くへこたれることもなく迷うこともなくなんでも解決してしまうしんのすけ。
なんだかちょっと違和感。
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というわけで、本作『クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』。
色んな違和感というか予想外を感じましたが、
ひろしが活躍ってだけで僕の中では楽しくて仕方がなかったです。
どちらかというと、また上手いこと「全方位向け」ってことですかね!